音声の聞きやすさは本人の声質、マイクの周波数特性、マイクと口元の距離感、部屋の反響感など様々な要素の影響を受けます。「秘伝のタレ」という様なレシピは存在しませんが、参考に整音の大まかな方向性を解説します。
ローカット(ハイパス)
低音部分の処理です。マイクに風や息が当たる「吹かれ」や「風斬り音」、近接効果により強調された低音の整理等に使用されます。80Hz~160Hz位が対象と考えます。処理の方向性を調整するQ値は特にローカットではオクターブでの指定が一般的です。機材によっては80Hzや120Hzの固定で、スイッチ切り替えのみという事もあります。
聴覚上カットしても影響の大きくない成分もあるので、レコーダー等についている基本的には使用する方向で検討します。
ハイカット(ローパス)
高音部分の処理です。聞きやすさに影響しない部分をカットしたり、チリチリといったノイズの処理に使用します。例えば無線式のヘッドセット等はマイクの特性上10,000Hz位までしか対応していない場合もある位なのでファイルサイズを小さくしたい場合にはバッサリとカットしても良いです。特に声の魅力を伝えたい場合は女性の声質などは16,000Hz位までは残して置いた方が良い場合が多いです。判断ができない場合は16,000Hz位で設定しておけば良いでしょう。
少し難しい話になりますが、出力エンコード時のサンプリングレートも意識できると良いでしょう。サンプリングレートの半分、例えば44.1Khzならその半分の22.05Khzになるが、それを超えた範囲は「エイリアス」と呼ばれる「折り返し雑音」の原因にもなる。ここでは詳しい説明を割愛しますが、44.1kHzなら22.05kHz以下でハイカット、ファイルサイズの縮小目的で32kHzにするなら16kHz以下でハイカット、といったことが必要になります。念の為頭の片隅に置いておいて下さい。
180Hz~10,000Hz
ローカット、ハイカットの間を整音していく方法はEQを使う他、マルチバンドコンプレッサーを使う方法等もあります。パラメトリックイコライザーという自由度の高いEQを使うのがオススメ。
EQの使用法の考え方には「不足部分を足す」という方向性と「過剰部分をひく」という方向性があります。音源にもよりますが、慣れていない時は「過剰部分をひく」という方向で調整をしていく様に意識すると良いでしょう。
最近コーヒーが使用しているWavesのEQ、「F6」