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Podcastの基礎知識

コーヒー主観のポッドキャスト総論

9-3.編集とマルチトラック録音

執筆者 | 2022年02月15日

 録音する音声ファイルにはいくつかの方法があります。
 「L、Rチャンネル」や「ステレオ」、または「2MIX」と呼ばれる全ての音声を1つのステレオトラックに録音する方法が最も一般的です。例えばICレコーダーで会議の会話を録音するシーンを想像してください。話者が何人居ても、全員の音声を1台のレコーダーで録音します。遠くにいる人の声が小さくても、近くにいる人の紙をめくる音が気になっても、全てそのままに録音します。

 それに対するのがマルチトラック録音と呼ばれる方式です。陸上の短距離走をイメージして貰うと良いかも知れません。マイクAは第1コース、マイクBは第2コースというように、それぞれのマイクを個別の音声トラックとして取り扱うことができます。通常各トラックはモノラルの音声として取り扱われます。個別の音声ファイルとして録音する方法や、複数のトラックを内包する単一の音声ファイルとして録音する方法もあります。

 マルチトラック録音にはどういうメリットがあるのでしょうか?基本的には編集をする場合にのみ得られる恩恵を得られます。個別の音声トラックとして録音された音声はDAWで編集を行う際にも個別の取扱が可能になります。各トラックの音量バランスを調整したり咳払いや雑音を取り除いたりする工程で、他のトラックに影響を与えずトラック毎個別に処理を行うことができます。

 また、不要な相槌や他者に被ってしまった音声を取り除いたり、不要な話をカットしたり、話の前後を入れ替えたり等の対応が取れるようになるのもマルチトラックのメリットです。2MIXの音源ではトラック毎の対応ができないため、声のかぶりなどは基本的に回復することはできません。

 デメリットとしてはマルチトラックのままではPodcastとして配信する事はできない点です。必ず2MIXのオーディオファイルに変換する工程が発生します。また、ファイルサイズも2MIXに比較して大きくなるためディスクスペースをより多く消費してしまう点も注意しましょう。

 最近のレコーダーではマルチトラックで録音しつつ、2MIXも別ファイルとして録音してくれる機材もあります。そこで、編集が不要なら2MIXを利用し、どうしても編集したいときはマルチトラック音源を利用するという選択肢を持つこともできます。

 柔軟性という点に関してはマルチトラック録音の方が間違いなく上です。ただ「必要性」の観点から考えると別な意見もあります。編集を前提とするマルチトラック録音は前述の通り必ず何らかの後処理を必要とします。そのぶん収録から配信までの作業負担は増大します。細かく編集する必要が無ければ、または編集をしない方針なら2MIXのみの取扱の方がよいと言えます。DAWの操作を習得する必要性も無くなります。特に始めたばかりの頃は手の込んだ編集は考えずに「2MIXで冒頭と後尾の不要部分を切る」位のつもりで考えておくのが良いかも知れません。

連載開始日:2021年11月16日


電器屋Walkerの過去配信のBGMで利用させて頂いております。

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