雑音やノイズというとどういう音を想像するでしょうか。
想像する音は人ぞれぞれ違います。例えば雑音やノイズを「聴取者のストレスや負担になる音」と定義した場合、音声の背後に「サーッ」と入り続ける連続性のある音は聴取者の負担になるでしょうか?では冷蔵庫の発する低音の作動音は?車の行き交う街の音は?もしかしたらそれらの音は番組の雰囲気を壊さない限り聴取者のストレスや負担にはならないかも知れません。
例えば雑音やノイズを「スタジオ収録のラジオ放送を基準に」と定義した場合、マイクに対する吹かれ、ケーブルなどのタッチノイズ、室内の反響音、椅子や机の軋む音、そうした音声以外の音全てがマイナス要素と捉えることもできます。
どこまでの品質を求めるかという事になりますが「完璧であることが重要という事ではない」という事を憶えておいてください。それぞれの環境の中で、編集に掛ける時間や労力とソレにより得られる品質のバランスを考えていきましょう。
「選択聴力」という言葉を聞いたことはないでしょうか。カクテルパーティー効果等とも呼ばれる現象で、人は「聞きたい音に集中できる」という脳の働きのことです。例えば居酒屋の様な様々な音が飛び交う環境で、特定の誰かと会話ができるのは「選択聴力」により「聞きたい音に集中できている」からです。
例えば街を歩きながら収録するスタイルのPodcastを考えた場合、街の音はノイズというよりも演出という側面の方が強くなります。靴の音、車の音、子供の声、そうした音が演出効果として番組の品質を上げるでしょう。当然ダンプカーや緊急車両などの大きな音はノイズとして聴取体験を悪化させるので注意が必要です。
例えば反響が強い部屋で収録せざるを得ない場合はどうでしょうか?もし一人収録ならそれはちょっとしたリバーブ効果として雰囲気作りに役立つかも知れません。
では複数人収録ならどうでしょうか?話者Aと話者Bで反響感が大きく異なる音源となれば、聴取者に違和感を与えてしまうでしょう。同じ様に部屋が持つ反響音も他の条件によりプラスにもマイナスにも働きます。
現在は手軽に効果の高いノイズリダクションプラグインを利用する事ができます。WAVESやiZotopeの様な有料プラグインだけで無く、DAWに付属の機能もバカにできない程性能が向上してきています。
ノイズリダクションプラグインに頼りすぎると「ロボ声」とか「ケロケロボイス」と呼ばれる不具合が出てくる場合があるので注意が必要です。そうした不具合が出た場合、効果の適用量を下げる方向で調整するしかありません。
ノイズリダクションは完全にノイズを消し去ることを意識するよりも「気にならない程度まで抑制する」という考え方を持った方が良いでしょう。例えばノイズリダクションに頼らずBGMを使えばある程度のノイズをごまかすことも可能です。
前述の反響の時と同様ですが大事なのはバランスです。各音源の雰囲気を統一するのが肝要と憶えておきましょう。
1つ意識をしておきたい事があります。それは「自分の話しているときにノイズを被せない」という事です。収録に慣れていないと意外とやってしまうミスの1つです。話しながらキーボードを叩かない。話しながら椅子を軋ませない。メール等の着信音が鳴ったときは編集に都合が良さそうな所から言い直す。そうして編集に対応できる様にしましょう。それだけで後の編集、ひいてはPodcastの品質向上に大きく貢献してくるでしょう。
- 不快と思われやすい雑音
- 意図しないタイミングでのキータイプ音
- イスや机のきしみ
- リモコンやパソコン等の操作音
- 窓の外の騒音(緊急車両、バイク)
- ペットの鳴き声