対策をしていない何もない空間は非常に強い反響音を生み出します。引越をするなどして部屋が空になった時の事を思い出してください。思わず「あ!あ!」と声を出したり手を叩いたりしたくなりませんか?それほどただの部屋というのは反響します。
1人収録であれば、反響音はそれほど気にならないと思います。場合によっては味付けとして意図的に反響音を付加する事もあるかも知れません。ただし複数人での遠隔収録の際はそれぞれの音源の反響具合が一致するか(大きく変わっていないか)注意が必要です。複数の音源の中でそれぞれの反響具合が異なれば、いかにも「遠隔収録で、それぞれの場所は違いますよ」という感じに伝わってしまうこともあります。
部屋の反響は室内に設置された家具などにより減少する。反響を生む主なポイントは以下の通りです。
- 反響を生む主なポイント
- 大きな平面(壁、棚、天井、床、デスクの天板など)
- 向かい合った平面(壁と棚、天井と床など)
- 部屋の角(二面が集まるところ)
- 天井の角(三面が集まるところ)
- パソコンのモニター
引越で荷物を運び込んだ後に反響感が減少するのは6面が平らで鏡合わせのようになっていた平面が、棚やベッド等の各具により邪魔されるからだと考えています。とにかく「でこぼこしている」「平板な面が小さい」のが反響対策には効果がある。収録環境によりますが、特に部屋の角や天井の四隅は反響感を生み出すポイントのようです。
会議室などの空間は収録に向いていると思われがちですが、物のない、平面の多い空間のため反響は一般的に強くなる傾向がありますので事前に確認することをおすすめします。例えば平面が向かい合わせにならない様にパーテーションをランダムに置いたりするだけでも対策効果が期待できます。
部屋のレイアウトの変更は容易ではありません。家族の視線も痛くなるかも知れません。そのためあまり目立たない工夫で反響感を抑制していく事を考えていきましょう。具体的には「部屋に対する対策」と「マイクに対する対策」の2つが候補にあがります。
部屋に対する対策は「吸音材」と呼ばれるものを壁面などに取り付ける方法です。Amazonなどで検索すれば直ぐにでこぼこしたスポンジやフェルトの板等が表示されます。これらの吸音材を購入して、虫ピンや弱粘着の両面テープなどで壁面や棚に取り付ける。びっしりと全面に貼り付ける必要はありません。大事なのは「平面を減らす」ことなので、吸音材を取り付けた部分とない部分とが市松模様になってもある程度効果を実感できるとおもいます。仮止めしてみて聞き比べるのも良いかも知れません。フェルトタイプであればカラーバリエーションなどおしゃれ感を求めることもできるので、家族の目も多少は気にならなくなるかも?
その他にもクローゼットのドアを開ける、カーテンを閉める、洗濯物を干すなど平面を乱す方法は色々ありそうです。
壁面への吸音パネル施工例
天井への吸音パネル施工例
ドアへの吸音スポンジ施工例
マイクに対する対策はリフレクションフィルターと呼ばれます。マイクの向こう側にスポンジを貼った壁を立てるイメージになります。マイクに対する反響のみに的を絞った対策で、特に歌の収録等には効果が期待できます。モニターと同じくらいのサイズ感が一般的で視界を邪魔します。そのため導入しているポッドキャスターは少ないと思われます。1人収録で資料などを確認しない場合、ナレーションなどの収録、謳ってみた等には検討する価値があると思います。
余談になるが「クローゼット」は収録ブースとして優秀な空間のようです。
衣類はそもそも吸音効果が期待でき、それがランダムに吊されているクローゼットはマイクを持ち込むだけで立派な収録環境になります。またクローゼットを改造して壁面や天井に吸音材を貼り、人目を気にしない収録ブースとしているポッドキャスターもいます。夏場の体調管理には気をつけたいですね。
「クローゼットの中からこんばんは」でお馴染み、ゆいまるさんのポッドキャストはクローゼットの中で収録されている。