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Podcastの基礎知識

コーヒー主観のポッドキャスト総論

6-2-2.マイクの角度と距離

執筆者 | 2022年01月15日

 マイクと口元の関係性の違いで同じマイクでも音声品質に大きな違いが生じます。前述の「吹かれ」に対する対策にも通じる面がありますので、条件を変えながらテスト音源を収録して比較してみるのも良いかも知れません。以下の項目を1つの基準に自分なりのセッティングを模索してみてください。

  • マイキングの基準
    • ダイアフラムの向きはまっすぐに口元を狙う。
    • ダイアフラムと息の風向きを正対させない。
    • マイクと口元の距離を15cm~30cmに納める。
    • マイクスタンド、マイクケーブルに触れない。

 「マイクの向き」ではなく「ダイアフラムの向き」とわざわざ書いたことには理由があります。例えばカラオケで使用するマイクのダイアフラムはマイクを垂直に立てたときに真上に向いています。なので、握ったマイクを口元に寄せればダイヤフラム(振動板)の向きはまっすぐに口元に向かう事になります。
 マイクには様々な形状があり、ダイアフラムの向きも常に真上とは限ぎりません。マイクのダイアフラムの向きをしっかり確認しておかなければ正しく音声は収録できないのです。広告写真の小道具でマイクが使われる場合に、確認もせず雰囲気だけでマイクを持ったりすると「この向きじゃまともに収録よ!」と突っ込まれたりするのもこの辺りが原因かも知れません。「何かがおかしい」と思いながらマイクを使いこなせなかった話はよく聞くことです、初めてつかうマイクは必ず取説やメーカーサイトの写真などでマイクの向き、ダイアフラムの向きを確認しておきましょう。

 ダイヤフラムに対して息が直接吹き掛かれば「吹かれ」という現象が発生するというのは前述の通りです。ポップガードなどを使用する事である程度の予防はできますが、少し「息とダイアフラムの軸」をずらしておくことも効果的です。上下左右、どんな角度でも良いですが、資料やパソコンの画面が見やすい様な位置関係を意識しておくと良いでしょう。
 例えばマイクを自分の目の前に置いた状態から右に30°位動かしてみて下さい。時計で言えば12時から1時の位置関係です。「フーフー」と息を吹き出しながら12時から1時に動かしていくと、吹かれの具合が変化することが実感できると思います。これは水平方向でなくても問題ありません。1つだけ気をつけておきたいのが、マイクをセンターにおいて下へ移動する場合です。この調整はあまりオススメしていません。目線が下に動けば口も下を向きますし、鼻息も鼻から下の方へ出るでしょう。吹かれた遺作としては下方向への移動では有効は多くないかも知れません。いずれにしても「こうです」という答えはないので、いろいろ試して見て使い易い位置関係を見つけて下さい。

 マイクと口元の距離感も重要です。
 指向性の強いマイクは狙った音に注目する効果があります。一般住宅の室内にある様々な騒音を効果的に排除してくれると期待されます。指向性の強いマイクでは「近接効果」と呼ばれる現象が発生するので注意して下さい。指向性の高いマイクは口元に近づけると低音が強調されていきます。特に男性は意図せず低音の強すぎる音源になる可能性があります。一般的には15cmからが近接効果が強く出てくると言われているので「15cmよりは近づけない」と憶えておいても良いかも知れません。逆に低音を強調させたい場合には近づけても良いですね。

 ではマイクと口元の距離感が離れているとどうか?
 大声で話していれば別ですが、周囲の音を多く拾うようになります。ノイズ除去機能の性能が向上した現在では後処理で環境音を抑制する事も可能ですが、マイクと口元の距離感で音質が良くなるのであればやらない手はないでしょう。マイクと口元の距離感が離れるほど部屋の反響音等も多く入ってきます。「30cmよりは離さないように」と意識して試してみて下さい。

 余談になりますが、「プロはA4用紙の長辺を使って簡易的に距離感を調整したりする人もいる」と教えて頂きました。A4の長辺は297mm、約30cmですね。2つに折れば約15cmとなります。物差しがなくても簡単に距離感を把握出来そうなアイデアですね。

連載開始日:2021年11月16日


電器屋Walkerの過去配信のBGMで利用させて頂いております。

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