6-1.エコーバックとミックスマイナス
例えばパソコン上で再生しているBGMを配信に使いたい。それを実現するにはどうすればいいでしょうか?
解決方法の一つにオーディオインターフェースによる「ループバック」という機能を使う方法があります。
パソコンで再生され、オーディオインターフェースを経由して配信者スピーカー等から再生される音声を、あたかもオーディオインターフェースの外側で再生された音声の様に取扱、パソコンへと送り返す機能。それがループバックです。
配信者が1人の場合、この方法で上手くいくことは多いと思います。
レコーダーに自分の音声と収録相手の音声を入力する場合を考えてみましょう。
レコーダーに入力された自分の音声を相手に送るためにパソコンに接続した場合、レコーダーに入力された相手の音声も一緒に送られてしまいます。すると、収録相手は相手自身の音声を時間差で聞かされることになり大変話しにくくなります。
その際に必要な仕組みが「マイナスワン」や「ミックスマイナス」と呼ばれる機能です。
自分を話者A、ネットの向こうに居る話し相手を話者Bとした場合、オーディオインターフェースやミクサーの設定に依っては話者Bの音声が話者B自体に戻っていく場合があります。ネットを経由しているのでタイムラグが発生し、非常に聞きづらい音声になります。それを回避するのがマイナスワンです。
エコーバックと呼ばれるこれらの現象は、遠隔収録では比較的起こりやすい問題の1つです。この現象を回避するためには、相手の音声を相手に送り返さない対策が必要になります。通常のレコーダーではこれが非常に難しく、ミキサー等の別の機器が必要になります。
それを実現するのが「ミックスマイナス」や「マイナスワン」と呼ばれる手法です。
エコーバックはミキサーを使用したりして回避するのが一般的ですが、レコーダー自身がミックスマイナス機能を持っていると複雑な構成を考える必要なくエコーバック問題を回避することができます。
Podcast向けと謳っている機材の中にはこのミックスマイナス機能を持っているものもあるので注目したい製品です。遠隔収録をする予定がないのであれば、ミックスマイナスは全く必要の無い機能です。
ZOOM PodTrak P4
ZOOM PodTrak P8
TASCAM Mixcast4
例えばPodTrakP4なら、遠隔収録3名で各自のトラックを個別のトラックに録音する事も可能です。