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Podcastの基礎知識

コーヒー主観のポッドキャスト総論

4-5.マイク

執筆者 | 2022年01月08日

4-5.マイク

 マイクは音声収録において最も重要な要素の1つです。マイクがなければ何も始まりませんからね。Podcastに使用されるマイクはその録音環境の多様さから、実に様々な選択肢があります。

  • Podcastに使用されている主なマイク
    • スマートフォン内蔵マイク
    • スマートフォン用イヤホンマイク
    • パソコン内蔵マイクやウェブカメラ付属のマイク
    • パソコンマイク(3.5φオーディオミニプラグ接続)
    • USB接続マイク
    • ダイナミックマイク
    • コンデンサマイク

 スマートフォンを利用する場合、端末に内蔵されたマイクを使う場合とイヤホンマイクを使う場合があります。通話に使用されるマイクですが、ハンズフリー通話も難なくこなす非常に優秀なマイクを備えています。また音声処理も相まって意外なほどクリアな音質で収録できる場合もあります。
 iPhoneに付属していた有線接続のイヤホン「EarPods」はコロナ禍においてテレビ内の遠隔収録でも使用され、ポピュラーな選択肢の1つとなっています。

 ビデオチャットの際は特にエコーキャンセリングの関係でスピーカーフォン状態では品質は大きく低下する可能性があります。イヤホンはそういう場面での音質向上に貢献します。リモコンの部分にマイクが仕込まれている場合が多いですが、口元に近い位置にあるためスマートフォン単体よりもイヤホンマイクを組み合わせた場合の方が音質は向上する傾向にあります。

 スマートフォン単体での収録の際に気をつけるべき点は机上などに置いて収録する場合です。机を伝わる振動等は大きな音としてマイクが感じ取ってしまいます。タオルを畳んでクッションの様にしてスマートフォンの下に敷くなど対策を考えましょう。

 イヤホンマイクを使用する場合はタッチノイズに注意が必要です。タッチノイズとはケーブルやマイクを触れる事により発生するノイズ全般をさします。イヤホンのケーブルにリモコンがあるため、プラプラとマイクが揺れることになりますが、そのリモコン(マイク)が衣類や頭髪などに触れるとノイズの原因になるのです。簡単な対策としてリモコンの下側のケーブルをつかみ、軽く前方に引っ張るようにしてマイクが揺れないようにすると状況を試して見て下さい。

 ノートパソコンにはビデオチャット用のカメラとマイクが内蔵されている場合が多いです。パソコン、特にパソコンを冷却する為のファンはノイズの発生源の1つです。ノートパソコンに付属しているマイクの音質が良かったという話はあまり耳にしません。ビデオチャットには問題はないが聴覚情報のみに集中するPodcastでは聴取者に対するストレスになる可能性もあります。

 USB接続のウェブカメラにもマイクが内蔵されている場合があります。パソコンのファンから距離をとる事ができれば音質は多少向上します。こちらも積極的に選択する理由はないと考えています。

 3,000円程度の廉価なビデオチャット用のマイクというものもある。ここではマイク入力用にピンクや緑色に着色された3.5mmオーディオ端子を持つものに限定してご説明します。パソコン上のピンジャックに接続して使用します。
 卓上型、ヘッドセット型など選択肢も多く、良品に巡り会うことができれば良い音質で収録する事ができます。ユーザーによるレビューで良いモノが紹介されていたら挑戦してみても良いかも知れませんね。

 パソコンでのPodcast収録用のマイクを考える場合USB接続のマイクは検討に値するカテゴリです。特に近年Podcast向けに様々なUSB接続タイプのマイクが投入されていて選択肢の幅も広いです。一般にコンデンサータイプのマイクが主流になります。卓上設置を意識した物、マイクアームに取り付けることを前提にしたもの、簡易的なEQやコンプレッサーを内蔵した物など様々あり、デザイン性も良く所有欲を満たしてくれます。
 USB接続のためオーディオインターフェースを必要としないので、パソコンとマイク1つあれば直ぐに収録を始められるのも便利な点です。ボイスチャット用のUSB接続ヘッドセットも選択肢の1つとなります。ヘッドセットで音質的に良い物は実際に試しながら探すしかないため、遠回りになりがちな点は注意しましょう。また、無線接続式は一般的に音質は低めになります。有線接続タイプを検討してください。

 代表的なUSB接続マイクの一部をご紹介します。活気のあるカテゴリなので自分でも色々探して見てください。

  • RODE                            Podcaster、NT-USB、NT-USB Mini、
  • SHURE                          MV7、MV5C、MV51
  • Blue Microphones          Yeti、Snowball、
  • Mackie                           Chromium、Carbon、EM-USB、EM-91C

 ダイナミックマイクとはダイヤフラム(振動板)の振動をコイルで音声を電気信号に変換する仕組みを持つマイクです。カラオケボックスにあるマイクを想像してもらえれば分かりやすいですね。対してコンデンサーマイクとはダイヤフラムの振動をコンデンサーで音声を電気信号に変換する仕組みを持つマイクです。漫才でセンターに立っているマイク(あくまでイメージですが)やショットガンマイクなどがそれです。

 ダイナミックマイクにもコンデンサーマイクにも様々な方式が存在しますが、ここでは詳細には触れず2種類のマイクの違いをまとめます。

 ダイナミックコンデンサー
電源供給不要必要
感度鈍感敏感
耐振動強い弱い
耐湿度高い低い

 誤解を恐れずに言えば、「ダイナミックマイクは多少雑に扱っても問題はない」がコンデンサーマイクは「それなりの取扱方が求められる」マイクとも言えます。

 ダイナミックマイクは感度が低く、指向性との組み合わせによっては高ハウリング耐性を発揮します。カラオケボックスであれだけ爆音の中で使用していてもきちんと使える、そういうマイクです。
 Podcast収録においては対面収録を行う場合に注目したいポイントです。2名の話者がいて、話者AはマイクAで、話者BはマイクBでというセッティングで収録を行う場合、話者Aの音声がマイクBに入ってきては不都合がある場合があります。そう言う場面では感度が低く指向性のあるダイナミックマイクの方がセッティングしやすいでしょう。また、一般家庭の室内で収録を行う場合もダイナミックマイクがオススメです。室内はエアコンや冷蔵庫、窓の外などの定常的なノイズや壁面や天井、家具からの反響など様々な不都合な要素が多数あります。そういう環境においてもダイナミックマイクは効果を発揮してくれるはずです。

 余談になりますがSHURE SM7Bというロングセラーのダイナミックマイクがあります。マイケルジャクソンが収録に使用したマイクの1つとしても有名ですが、リッチな低音やその使い勝手からPodcast用マイクの終着点という立ち位置を確立しているマイクの1つです。

 コンデンサーマイクは感度の良さから原音に近いクリアな音声を収録できると言われています。目を閉じればあたかも自分がその部屋にいるのでは?と思う程鮮明に環境の音を捉えてくれるでしょう。「それなりの取扱方が求められる。」と前述しましたが、個人的な経験からはそれほど壊れやすいと感じたことはありません。少なくても多湿な環境や温度差がある空間の移動時は注意しておけば十分だと思います。

 吸音材、リフレクションフィルター等の環境音対策ができるのであればコンデンサーマイクは明瞭な音声を収録してくれます。

連載開始日:2021年11月16日


電器屋Walkerの過去配信のBGMで利用させて頂いております。

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