2-3-1.ホスティングとリスティング
Podcastでは音声ファイルをサーバーにアップロードし、RSSフィードを用意する事が求められます。これがPodcastを始める大きな課題となっていて、その課題解決を狙って様々なホスティングサービスが登場し、そしてサービス終了していきました。ここではその一部を抜粋してご紹介します。
- ホスティング機能を持つブログサービス
- Seesaaブログ(現在もサービス継続中)
- ココログ(Podcastホスティング機能「Podcasting Juice」終了) など
- 音声ファイルホスティング専用またはそれを中心としたサービス
- SoundCloud
- anchor
- Radiotalk(Radiotalkの内容をPodcastに配信できる)
- ケロログ(サービス終了)
- ユーザー主体のホスティング方法
- レンタルサーバー
- WordPress等のCMS
- 配信RSS作成補助に特化しリスティングを付加したタイプ
- 忍者Pod(サービス終了)
ホスティングはRSSを利用してPodcastを配信するにあたり標準的な手段のひとつです。ただし、それだけでは聴取者が効率的に番組を見つけるには不十分といえます。その為に様々なPodcastを登録できるサービス(ここではリスティングサービスと呼ぶ)が存在しています。むしろ一般の聴取者がイメージする「Podcast」とは各リスティングサービスの事であるかも知れません。
仮にサーバーやホスティングサービスを「倉庫」と例えるなら、リスティングサービスは「ショッピングモール」の様なもです。多くの聴取者の目(耳に)に触れるには様々なモールへ出店し、モール内の評価も向上させる必要があります。
- 日本でもよく知られるリスティングサービス
- Apple Podcast
- Spotify
- Google Podcast
- Amazon Music
2-3-2.Podcastとライブ配信
音声配信においてもLIVE配信は注目の分野ですが、例えばYouTubeの様な動画配信のそれとは少し意味合いを異にすると考えられます。
- 動画におけるLIVE配信
- 視聴者とのコミュニケーション
- 投げ銭によるマネタイズ
- プレミアム感の演出方法
- 音声におけるLIVE配信
- 聴取者とのコミュニケーション
- その場限りの配信によるプレミアム感の演出
- アーカイブに残さない為配信者として気軽に行える(2-3-3で後述)
※執筆中にもどんどんとサービス内容が更新され、動画と音声におけるLIVE配信の違いは最小化してきています。
意識的か無意識的かに関わらずラジオ配信を1つの理想形として捉えているポッドキャスターは少なくありません。LIVE配信でBGMや効果音を取り扱うには一定の知識や経験もしくは機材が必要で、誰でもが簡単にできることではありません。またトークスキルの不足を編集で補っているという側面もあります。そのため編集を前提とした番組においてはLIVE配信の需要はそれほど高くはないと考えられます。
2-3-3.音声配信とライブ配信
では音声配信ではLIVE配信は必要とされていないのか?と問われればそうではありません。
Clubhouseの登場により「アーカイブに残らない」音声配信に対する需要が掘り起こされました。その場限りの配信だからこそ気持ちのたがも緩む。聴取者はTwitterやブログ等のテキストで「残ってしまう」メディアでは見聞きすることのできない「本音トーク」が聞けるかも知れないという期待を持ち、配信者は「どうせこの場に居ない人は知らないのだから」とプレッシャーから解放されます。
この種の音声配信手法は今後も一定程度のニーズがあると想像しています。例えば入場料を徴収するような仕組みができればプレミアムライブ配信という体裁で芸能人や著名人、サロンを運営者の参入が加速するでしょう。
2-3-4.アーカイブ配信
Podcastをはじめとし、多くの音声配信ではアーカイブ配信を基本としています。その理由はラジオに変わるメディアとしてPodcastが成長してきた理由と繋がっています。
- Podcastが成長してきた主な理由(利便性)
- いつでも聞ける(Wi-Fi経由の事前ダウンロードでも、オンデマンドでも)
- どこでも聞ける(スマホの普及により、聴取に必要なデバイスを携行している)
- 好きなタイミングで(配信後の音源は聴取者のタイミングで聞ける)
- 好きなコンテンツを(放送局ではなく、コンテンツを直接選択する)
Podcastが持つこれらの特徴はアーカイブ配信なくしては成立しません。
ネットワークの品質が向上した現在だからこそClubhouseの様なLIVE配信の音声配信が成立するようになりましたが、それでも音声配信の主流はアーカイブ配信と考えて間違いでしょう。